2024/07/13 17:06
コーヒー生豆はコーヒーノキから採取されるコーヒーの実(コーヒーチェリー)から精製されます。主な精製方法は4つ。ナチュラル、ウォッシュド、ハニー、スマトラ。それぞれの精製方法は、コーヒーの実から種子以外のものを取り除き、最終的に乾燥するまでの工程に違いがあります。同じ品種、同じ産地であっても精製方法の違いによって風味はことなり、コーヒーの特徴を決定づける大きな要因にもなっています。
コーヒーの実(コーヒーチェリー)の構造




精製工程

ナチュラル (非水洗式)
ワインのような、果実のような、独特の風味
コーヒーチェリーそのままの姿で乾燥させる方法です。ブラジル、イエメン、エチオピアなどでおこなわれている伝統的なこの精製方法は、コストがかからないシンプルな工程で、環境にも優しいのが特徴です。コーヒーチェリーのままの状態で、天日や機械を用いて2~3週間ほどかけて乾燥させます。収穫直後には真っ赤に張った実が、時間の経過とともに萎み変色。乾燥を終える頃には茶色く萎んだ状態となります。その後、脱穀機を用いて外皮、果肉、パーチメント、シルバースキンを一度に除去する脱穀作業を行うと、緑がかったコーヒーの生豆となります。
ハニー(パルプドナチュラル)
蜂蜜のような甘味
一昔前にはセミウォッシュドとも呼ばれていたこの方法は、手間がかかるのですが、粘液質が残ったままの状態で乾燥させるため発酵しやすく、残った成分が凝縮され蜂蜜のような甘味を持つコーヒーになります。地域により多少異なるものの、ミューシレージを残す量と乾燥にかける期間によって呼び名が変わり、殆ど除去したものは「ホワイトハニー」、半分程度残したものは「イエローハニー」、ほとんど残して短期乾燥したものは「レッドハニー」、ほとんど残して長期乾燥したものは「ブラックハニー」と呼ばれています。
ウォッシュド(水洗式)
スッキリとクリーンな風味
スッキリとクリーンな風味に仕上がる「ウォッシュド」は、多くのコーヒー生産国で行われている方法です。粗選別の後、コーヒーチェリーを水槽に入れ、浮遊する不純物と完熟チェリーを分けるところからはじまり、果肉を取り除き、発酵槽や機械を用いて粘液質を除去。乾燥させ脱穀する方法です。ナチュラル精製にくらべると複雑な工程にはなりますが、その分、粒の揃った綺麗なコーヒー生豆に仕上がります。
スマトラ
独特の香りと苦み、深緑色の生豆
インドネシア スマトラ島の一部で編み出されたマンデリンの精製に用いられている方法で、他の精製と大きく異なる点は、脱穀してから乾燥させるという点です。雨の多いインドネシアならではで、乾燥を半乾燥と本乾燥を2回に分けることで時間を短縮。同時に独特の香りと苦みをもったコーヒーに仕上がります。深い緑と少しいびつな生豆も特徴です。特殊な乾燥方法に原因します。
2020年頃から話題になっている特殊な精製工程
アナエロビック・ファーメンテーション
華やかな香りや芳醇な甘みを引き出す
近年では、アナエロビック・ファーメンテーション(アナエロビコ/アナエアロビック)と呼ばれる嫌気性発酵を用いた精製方法も広まってきています。ナチュラルやウオッシュドの多くは屋外で空気(酸素)に触れる環境で好気性の微生物に発酵させる「好気性発酵」を用いていますが、アナエロビックと呼ばれるこちらの方法は、空気に触れない環境を作り、嫌気性の微生物に発酵させる「嫌気性発酵」をさせたもののことをいいます。チェリーを密閉したタンクや容器等に入れ、36~72時間ほど無酸素状態に置き、空気に触れないことで活動する嫌気性の微生物が活動し発酵させることで、これまでの好気性発酵とは異なる発酵感の強いフレーバーを発生させます。

コーヒー屋でなんとなくコーヒー豆を買っていて、気に入ったものを見返してみたら「ナチュラル」が多かったなんてことも。精製方法は好みの要因として焙煎度の次に大きい気がします。飲み比べて特徴をつかめてくると楽しいですよ!店員さんに「ナチュラルの深いやつありますか?」とかちょっとカッコいいですね。これができると目当ての産地銘柄がなくても飲みたかった味わいから大きく外すことはありません。お店側としてもめちゃくちゃお勧めコーヒーを提案しやすいです。
是非精製方法にも注目してコーヒー楽しんでみてください!